事業等のリスク
基本方針
当社グループでは、物理的・経済的若しくは信用上の損失又は不利益を生じさせる要因となりうる事象をリスクと特定し、経営への影響度と発生可能性で評価し、アセスメント結果を基に当社グループとしての重要リスクを決定しております。その中でも、リスクが顕在化した場合に事業に重大な影響を及ぼすものをモニタリング対象リスクとして特定し、リスク対策の進捗などを重点的にモニタリングすることで、全社的なリスク対策の強化を図っております。
経営戦略を実行する上で、潜在するリスクが顕在化しないよう、適切な対応を定めるリスクマネジメント体制を構築するとともに、重大なリスクが発現した場合の損失を最小限に抑えるクライシスマネジメント体制も整えております。
リスク管理体制
当社グループのリスクマネジメントの推進にあたっては、管理本部長を委員長とし、各部門及びグループ会社の責任者が出席する「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」を当連結会計年度中に5回開催し、同委員会において、外部環境、事業戦略、業務プロセス、法務・コンプライアンスの各項目にリスクを分類し、各分類から抽出されたリスクを影響度と発生可能性の観点から評価し、リスクアセスメントを実施しております。その中でも、企業活動に重大な影響が想定され、かつ当年度重点的に取り組むべきと評価したリスク項目をモニタリング対象リスクとして特定しております。その上で、特定したモニタリング対象リスクごとに関連部門から担当責任者が任命され、委員会下部にある分科会においてリスク対応策を検討・実行しております。進捗状況は、四半期ごとにモニタリングを通じて確認され、必要に応じた是正・改善が行われ、取締役会に報告しております。
リスク管理体制図

主要なリスクとして認識している事項
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。
(1) 経済動向・社会・制度等の変化に関するリスク
当社グループの事業は、不動産という社会インフラ、税や各種規制といった法制度、株式市場などの経済動向、海外投資家への販売増加に伴う各国の法規制や外国人の不動産取得に関する制度見直しの動向など、様々な要因の影響下にあります。これらに変化が生じた場合、当社グループの経営成績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多様な不動産関連商品・サービスを提供し、特定の事業に依存しないポートフォリオを構築することで、負の影響が生じた場合のリスクを最小化するのみならず、経済動向等の変化を事業成長の機会にも積極的に繋げていけるよう取り組みを進めております。
2025年2月14日に策定した第3次中期経営計画においては、「資本コストと株価を意識した経営」「サステナビリティ経営」を経営方針として掲げ、「事業領域の拡大」と「新たな価値創造」の2つを事業戦略の軸とおき、更なる企業価値の向上に取り組んでおります。また、2025年からは新たにアセットマネジメント事業を立ち上げ、運用資産残高の拡大を通じた安定収益の確保にも努めております。
(2) 不動産小口化商品に係る税制見直しに関するリスク
当社グループの事業は、各種税制度や法的規制の見直しの影響下にあるところ、2025年12月19日に公表された令和8年度税制改正大綱においては、不動産小口化商品に関する相続税評価方法の見直しの方針が明記されております。かかる税制の見直しにより投資家のニーズが変化した場合には、不動産小口化商品の販売機会が損なわれ、当社グループの経営成績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、不動産小口化商品にかかる投資家のニーズを的確に捉え、相続税評価方法の変化に関わらず、安定した需要の獲得に努めております。今後は、節税効果にとらわれず、分散投資のメリットを最大限訴求できる組成商品や組成スキームの多様化、出口戦略の拡充、販売ネットワークの拡大をより一層強化してまいります。また、同税制改正に伴う影響を適切に伝達するため、投資家に対するリスク説明を強化し、投資家への情報提供の充実を図っております。
(3) 仕入・販売に関するリスク
当社グループの主力事業である不動産売買事業は、首都圏1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)を中心に展開しており、居住用不動産の買取再販については参入障壁も低いため、各社との競争環境が厳しくなっております。投資用不動産に関しましても大手不動産会社が新たに事業参入するなど、競争環境は年々厳しさを増しており、当社グループが目標とする利益率の確保が行えない環境となり、計画どおりの仕入・販売が行えない場合には、当社グループの経営成績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、幅広いアセットタイプや価格帯を取り扱うこと、スピード感のある契約・決済手続きを行うことに加えて、2023年からは地方への営業所の展開も開始することで、不動産仲介会社及びアセットオーナーの幅広いニーズに応え、競合他社との差別化を図っております。他社では仕入が困難な物件でも、当社グループが長年培った経験及びデータに基づき、その立地・エリアの特性に合わせた物件に再生することで、厳しい条件下においても幅広く仕入・販売が行えるよう努めております。
(4) 有利子負債への依存と金利変動に関するリスク
当社グループは、不動産売買事業における中古不動産の買取資金を主に金融機関からの借入金によって調達しており、当連結会計年度末における有利子負債依存度は58.8%となっております。このため、今後、金融情勢の変動によって金利上昇や金融機関の融資姿勢が変化した場合には、支払利息の増加や仕入計画の変更等により当社グループの経営成績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
有利子負債依存度に関しましては、その数値を65%以下とすることを財政健全性の一つの指標としており、自己資本比率やネットD/Eレシオを含めた指標を常に管理することで、財政状態を強化しております。加えて、当社グループは特定の金融機関に依存することなく、個別案件毎に販売計画の妥当性を分析したうえで借入金の調達を行うことで、取引金融機関との円滑な取引関係を構築しております。
(5) 財務制限条項に関するリスク
当社は、2025年3月14日開催の取締役会決議に基づき8行の金融機関とシンジケートローン契約を締結しております。この契約には、財務制限条項が付されており、これらの条項に抵触した場合、期限の利益を喪失し、当社の財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいては、第3次中期経営計画において、自己資本比率、ネットD/Eレシオ等の財務指標を重要な経営指標(KPI)として設定しております。
財務制限条項への抵触を防止する観点も踏まえて、これらの指標に基づき財務状況の推移を取締役会にてモニタリングし、健全な財務体質の維持・向上に努めております。また、一定の現預金水準の確保により、流動性リスクの低減も併せて図っております。
(6) 販売用不動産の評価損に関するリスク
当社グループが保有する販売用不動産については、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号2019年7月4日改正分)を適用しております。期末に保有している販売用不動産のうち、投資用不動産については、減価償却を考慮した簿価と正味売却価額を比較し、正味売却価額が簿価を下回っている場合には商品評価損を計上することとしております。また、販売用不動産のうち、区分所有マンション、戸建等の居住用不動産については、取得価額と正味売却価額を比較し、正味売却価額が取得価額を下回っている場合には商品評価損を計上することとしております。今後、経済情勢や不動産市況の悪化等により、当初計画どおりに販売が進まない場合、販売用不動産が在庫として滞留する可能性があり、滞留期間が長期化した場合等は、期末における正味売却価額が簿価または取得価額を下回り、商品評価損を計上することも予測され、当社グループの経営成績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、不動産売買市場の動向を常に注視し、業績への影響の把握と事業の進捗管理や精度の向上に努めており、販売用不動産の保有中に市況変動があった場合でも適切に利益が確保できるよう、仕入価格を厳正に精査し決定しております。不動産買取再販事業は仕入から販売まで短期間のサイクルではありますが、仮に長期在庫となった場合でも、正味売却価額の低下を極力抑制できるよう適切なリフォーム計画と賃料設定による投資利回りの改善・向上に努めています。
(7) 法的規制に関するリスク
当社グループの属する不動産業界は、「宅地建物取引業法」「建設業法」「不動産特定共同事業法」「建築基準法」「都市計画法」「国土利用計画法」「借地借家法」「不当景品類及び不当表示防止法」「不動産の表示に関する公正競争規約」「金融商品取引法」等の各種法的規制を受けております。今後、これらの法的規制の改廃や新たな法的規制が設けられる場合には、当社グループの経営成績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループでは、法的規制の遵守を徹底しておりますが、将来何らかの理由により法令違反の事象が発生し、監督官庁より業務の停止や免許の取消し等の処分を受けた場合には、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに当社グループの経営成績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、法務コンプライアンス部門が中心となって各種法的規制に対応し、従業員へのコンプライアンス研修やセミナーなどを実施して法令遵守・コンプライアンス意識を高めるとともに、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会の運営により、リスクマネジメント及びクライシスマネジメントの観点から、当社グループ全体の主要リスクに対する対応策の検討や、コンプライアンス違反の未然防止策の制定等を行っております。各種法的規制に改正がある場合などには、社内弁護士、外部機関、及び顧問弁護士とも連携して最新の情報を把握するよう努め、当社グループ内での周知徹底を図っております。
なお、法的規制に関して、許認可等の有効期間が関係法令により定められているものは下表のとおりであります。
(当社)
| 許認可等 の名称 |
許認可 (登録)番号 |
有効期間 | 関係法令 | 許認可等の取消又は 更新拒否の事由 |
|---|---|---|---|---|
| 宅地建物取引業者免許 | 国土交通大臣 (4)第7987号 |
2025年5月14日から 2030年5月13日まで |
宅地建物取引業法 | 同法第5条及び第66条 |
| 一級建築士事務所登録 | 東京都知事登録 第51257号 |
2025年7月20日から 2030年7月19日まで |
建築士法 | 同法第26条 |
| 不動産特定共同事業者許可 | 東京都知事 第105号 |
― | 不動産特定共同事業法 | 同法第36条 |
| 特定建設業許可 | 国土交通大臣 第028616号 |
2024年10月1日から 2029年10月1日まで |
建設業法 | 同法第29条、第29条の2 |
(㈱フジホーム)
| 許認可等 の名称 |
許認可 (登録)番号 |
有効期間 | 関係法令 | 許認可等の取消又は 更新拒否の事由 |
|---|---|---|---|---|
| 宅地建物取引業者免許 | 東京都知事 (6)第75654号 |
2022年10月4日から 2027年10月3日まで |
宅地建物取引業法 | 同法第5条及び第66条 |
| マンション管理業者登録 | 国土交通大臣 (1)第034574号 |
2021年6月25日から 2026年6月24日まで |
マンション管理業法 | 同法第47条 |
| 賃貸住宅管理業者登録 | 国土交通大臣 (1)第0002623号 |
2021年11月17日から 2026年11月16日まで |
賃貸住宅管理業法 | 同法第6条 |
(㈱ムゲンアセットマネジメント)
| 許認可等 の名称 |
許認可 (登録)番号 |
有効期間 | 関係法令 | 許認可等の取消又は 更新拒否の事由 |
|---|---|---|---|---|
| 宅地建物取引業者免許 | 東京都知事 (1)第112095号 |
2025年3月22日から 2030年3月21日まで |
宅地建物取引業法 | 同法第5条及び第66条 |
| 第二種金融商品取引業 投資助言・代理業登録 |
関東財務局長 (金商)第3500号 |
- | 金融商品取引法 | 同法第52条 |
(8) 情報セキュリティ等に関するリスク
当社グループでは、各事業において個人情報をはじめとする多くの機密情報を取り扱っております。これらの機密情報に関しては、「個人情報の保護に関する法律」をはじめ、関連する諸法令の遵守と適正な取り扱いの確保に努めておりますが、情報セキュリティインシデント発生等の不測の事態により、万一、機密情報が外部へ漏えいした場合、社会的信用の低下等により、当社グループの経営成績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、サイバー攻撃等により情報システム障害その他の損害が発生した場合、当社グループの事業継続に重大な影響が生じる可能性があります。
当社グループにおいては、情報システム部門及び法務コンプライアンス部門を中心に、機密情報や個人情報等の取扱いに関する啓蒙活動や研修を実施することで、人為的ミスによる情報漏洩の未然防止に努めております。また、情報の取扱いに関する規程の策定及び見直しを行い、情報セキュリティに関するガバナンス強化を図っております。
万が一、サイバー攻撃を含む情報セキュリティインシデント等の事象が発生した場合においても、リスクを適切にコントロールし事業活動へ与える負の影響を最小化するよう、情報システムに係る体制基盤の強化に努めております。
(9) 契約不適合責任、訴訟等に関するリスク
当社グループでは、販売する中古再生不動産について、民法及び宅地建物取引業法の規定に基づき、引渡し後最低2年間の契約不適合責任を負っております。また、販売する新築住宅については、民法及び住宅の品質確保の促進等に関する法律の規定に基づき、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵について、引渡後10年間の担保責任を負っております。そのため、販売した物件に契約不適合があった場合には、当該不適合部分の補修や損害賠償、契約の解除等により予定外の費用を負担せざるを得ないことがあります。また、販売した物件について、現時点で業績に直接影響を及ぼす重要な訴訟を提起されている事実はありませんが、業務手続に適法性や適切性を欠いた場合にはクレーム等を受け、それらの係争に起因する訴訟が発生する可能性があります。
今後上記のような事態が発生した場合、その内容及び結果によっては、当社グループの経営成績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいては、品質管理を徹底するために、リフォーム工事の施工前及び完了時に独自のチェックリストを用いて品質のチェックを行うことで、品質の確保に努めております。また、対象となる居住用不動産については、保証書を発行し、引渡し後6カ月の時期に点検を行い不具合等の修補を行うことで、アフターサービスの強化を図っております。さらに、このような訴訟・係争ないしは請求が生じることのないよう、クレーム低減に向けた施策を講じる等、社内体制の整備に努めております。万が一訴訟・係争ないしは請求が発生した際には、社内弁護士を中心として迅速に事案を把握し対応を行う体制を構築することにより、リスクの最小化に努めております。
(10) 自然・人為的災害に関するリスク
当社グループは、首都圏1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)を中心に、全国の各地方都市にも不動産買取再販事業を展開しており、取り扱う中古不動産も全国に所在しております。日本各地において、地震・火災・水害等の自然災害、大規模な事故やテロ等の人為的災害が発生した場合、当社グループの役職員の安全が脅かされ、当社グループの事業継続が困難となる可能性や、当社グループの所有する中古不動産が滅失、毀損または劣化し販売価値や賃貸収入が著しく減少する可能性があります。
当社グループにおいては、自然災害や人為的災害等の緊急事態に遭遇した際に損害を最小限に抑え、重要な業務を継続し、早期復旧を図れるよう、災害発生時における事業継続に関する行動計画(BCP)を策定しております。また、保有する不動産の選定及び管理に関して、旧建築基準法適用時に建設された物件の保有を控え、保有した場合でも耐震性に関する診断を厳密に行うことで、大規模な地震発生時の影響の最小化を図っております。
(11) 人材の確保に関するリスク
当社グループは、様々な経営課題克服のため、優秀な人材を継続的に確保・育成していくことが最重要課題であると認識しております。従って、今後も優秀な人材の中途採用、優秀な学生の新卒採用及び教育・研修制度の充実を図り、当社グループの経営理念を理解した責任ある社員の育成を行っていく方針であります。しかしながら、当社グループの求める人材の確保・育成が想定どおりに進まない場合には、当社グループの経営成績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいては、多角的な採用チャネルを選定し、当社グループのカルチャーやバリューに沿った能力を発揮出来る見込みのある潜在層へのアプローチを積極的に図り、優良人材の獲得に努めております。また、若年層の従業員及び新卒採用社員に対する教育プログラムを充実化させ、積極的かつ効果的に研修を実施することで、早期の戦力化を図っております。さらに、離職率低下を目的として、中途採用・新卒採用を問わず、入社後のフォローアップを行う等、社員が定着しやすい就業環境の整備に努めております。
(12) 開発行為における取引先倒産等に関するリスク
当社グループにおいて、販売用の一棟建物を建設する場合は、外部の建設業者へ発注しております。そのため、当社グループの選定基準に合致する建設業者を十分に確保できなかった場合や、発注先建設業者の経営困難又は労働者不足により工期遅延並びに外注価格の上昇が生じた場合には、当社グループの経営成績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、外部建設業者とのネットワークの拡充を図ることで、特定の建設業者に依存することのない施工体制の構築に努めております。社員や取引先等の関係者を通じて建設業者を紹介していただくなど、積極的な新規開拓に取り組むことで協力業者の確保に努めるとともに、既存建設業者との良好な関係の維持・強化も図っております。